昔から身体を動かすことが好きで、考えてみれば小学生のころから農業に憧れていました。家庭菜園で野菜を作る母を手伝ったり、高校時代は農家に泊まり込みでアルバイトしたり。30歳を過ぎる頃、そろそろちゃんと農業で生活ができるようにしたいと。そんな時、茂木町の酪農家さんのところでアルバイトをしないかという話があり、こちらへ来ました。アルバイトしながら知り合いを作って、新規就農の人たちから話を聞くうちに「ここだったらやっていけるかな」と。
アスパラガスのハウスは8棟、約20アールを栽培しています。最初からアスパラをやろうと思っていました。今はインターネットや本にいろいろな情報が出ているので、それで独学です。もともと人から教わるのは好きじゃないから、自分で試行錯誤しながらやりました。結果的には遠回りかもしれないけど、不思議とうまくいくような気がして。でも、実際に始めてみると大変なことばかりで、納得がいくような出来映えには、中々ならないですね。
アスパラは「道の駅もてぎ」に出荷する以外に町中の飲食店5、6軒に出したり、東京のレストランでも使ってくれています。そういうところは、お客さんの反応を直接伝えてくれるからおもしろいです。厳しいことを言われることもあるけど、「今度はもっとおいしいアスパラを作ってやろう」とやりがいを感じます。
茂木での暮らしは、友達や知り合いが増えてくると、どんどん楽しくなってきます。初めの2、3年は都会の記憶が抜けないし感覚が都会的だけど、5年も経つとこっちがスタンダードになってくる。最近東京へ行くと、もう都会では暮らせないなって思います。それに、以前は仕事のストレスを趣味の山登りで解消していたけど、今は山へ出かけることもなくなりました。農業という仕事が趣味みたいなもので、ストレスを解消する必要がないんです。
今、自分たちで家を建てています。ずっと借家に住んでいたんですけど、地元の人にお世話になって300坪程の土地を購入しました。プレハブなんですが、基礎は自分でやって、これからお風呂やトイレも設置し内装をして、…いい家にしますよ。これも遊びのひとつ、おもしろいです。春までには完成させたいなぁ。